お金や物は、使うと減っていきますが、使えば使うほど、増えるものがあります。
 例えば、脳みそ、筋肉、笑顔、やさしさ、知恵、・・・
 年を重ねると、老化現象と言われているものに惑わされて、衰えていくものだと錯覚しがちですが、衰えていくばかりではありません。反対に研ぎ澄まされていくものもたくさんあります。
 若い時には気が付かなかった、濡れた石の美しさに気が付いたり、見慣れた山の形状に感動したり、作業着の姿をかっこいいと思ったり、・・・失っていくものに変わって、新たな発見もたくさんいただけるようになります。
 お朝事や法要、お通夜や葬儀で、読経をしますが、最近気をつけていることは、丹田(臍下三寸)から声を出しているかということです。例えば、お正信偈は約20分間、声を出し続けます。声を出し続けるということは、強制的に深呼吸をし続けていることになり、自然に循環機能が高まります。また、経本を、眼で見る、声に出す、耳で聞くを同時に行うので、脳神経は、活性化します。おまけに心肺機能も活性化し、体のほとんどの機能を使うので、お互いが刺激しあうことによって、いのちは、大喜びします。つまり、お経を大きな声で読むことによって、老化防止につながるのです。
 スポーツをする時には、体の血流をスムーズにするために、準備運動をしますが、脳みそを使う時の準備運動は、お経を読むことだと思います。近所の子どもたちに、宿題や勉強を始める時に大切なものは、音読だと教えています。脳内の血流をよくするために全ての神経感覚をスムーズに活性化させるには、音読から始めるのが最適だと言われているからです。
 物忘れを防いだり、認知症を患ったりすることを予防するために、大きな声で、お経を読むことをお勧めいたします。
「読書百遍、意、自ずから通ず」と言われています。お経を読むことにより、身体の活性化はもとより、お釈迦さまや親鸞さまが薦めてくださる仏教の真理も、少しずつ味わうことができます。
 有田町のお隣、長崎県波佐見町の真宗門徒の方々は、若い人でもお正信偈を声高々にお勤めされますので、訳を尋ねると、七日七日はお寺さんがみえて、一緒に正信偈をお勤めしますが、
49日の間、毎日、家族でお正信偈をお勤めするように言われていますとお答えになりました。










法泉寺のご門徒もそうありたいものだと、今後、勧めていこうと思っています。
 それより、毎日、普段でも、お正信偈をお勤めすることが、真宗門徒の嗜みだと思います。約20分、連続声出しのお経は、現世利益の最たるものだと信じています。

  
新シリーズ「お念仏を悦ぶ人々」 
平田崇英師●(宇佐市教覚寺前住)
 
 今年の法泉寺のお彼岸は、19-21日の三日間、お勤めをし、22,23日は、大分県宇佐市の教覚寺様へお彼岸のお取次ぎに行きました。
 教覚寺は、大学の同窓の平田崇英君が住職をしていた(現在息子さんが住職)大きなお寺ですが、平田君は、宇佐塾という地域の学習集団の塾頭もしていて、相撲の双葉山や作家の横光利一の功績などを市民に知らせ、海軍宇佐航空隊の掩体壕の保存活動や米軍の戦争フィルムの収集など、NHKや大分新聞などにも時々登場して、活躍されています。「掩体壕を残すまちから」という本の著作や「八幡の歴史」(八幡まちづくり協議会)の編集、大分合同新聞のコラム「ともしび」の出筆など、東奔西走の多忙な日々をおくっているバイタリティ溢れる僧侶です。
 その平田君は、酒にも造詣が深く、21日の夜の食事の折、大分の地酒「和香牡丹」を薦めて、曰く 「尖った酒よりも、料理の邪魔をせず、会話を弾ませるような こんなお酒が一番」 だと教えてくれました。本当におとなしい味わい深いお酒で、気に入って、何杯もいただき、おまけにお土産にも持たせてくださいました。
 その平田君のお念仏を喜ぶ姿勢は、お勤めの丁寧さに現れていました。同じ同窓の久堀文門君の3回忌にお参りした折、導師を務めた平田君は、色五条の正装で、仏説阿弥陀経を、丁寧にお勤めされました。
 普段の法事も、こんな風に丁寧にお勤めされて、お念仏をよろこんでおられるのだろうと想像できました。


   

別院級の大きな伽藍の教覚寺本堂 大分合同新聞のコラム 掩体壕を残す町から やはたの歴史














★10月行事予定(住職動静)

1日 東山代町滝川内 蓮乗寺様へ お彼岸の出講
6日 有田町大野地区高齢者サロン 説法ライブ

   13日 
むりょうじゅ会 夜7時30分~
         歎異抄を味わいます。

 
12日、26日 伊万里栄町歌う会 (13:30~15:00)

22日 永代経、門信徒総追悼法要 10~12時
     *今年度の該当者には、ご案内を差し上げます。

31日 第7回佐賀県コミュニティ・スクール研究大会 参加 メートプラザ佐賀 

●永代経について

 浄土真宗の永代経というのは、多宗派の永代経とは、意味合いが違います。
浄土真宗では、故人の追善供養ではなく、先祖代々から私の代まで受け継がれてきた親鸞聖人のみ教えを慶び、そして子や孫へと永代に渡り、受け継がれていくことを願う、大切な法要です。
 
法泉寺では、毎年10月下旬にお勤めをしています。松浦組のお寺さんや住職の知り合いのお坊さんに出講していただき、お取次ぎをしていただいておりましたが、昨今のコロナ禍で、ここ3年は、住職が自勤でお取次ぎをしています。
 1年間にお亡くなりになった方々や納骨堂に加入のご家族にご案内をし、その御縁で、お寺の維持や仏具などの購入に必要な経費を賄うために、御懇志をあげていただき、役員さんの了承の下で、使わせていただいています。

 該当の方々だけでなく、門信徒総追悼の法要ですので、どなたも、お誘い合わせて、ご聴聞いただきますようにご案内申し上げます。

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一口法話    2023,10 桃谷法信

音読(お経)=老化防止